某予備校の生徒に限らず、高校の帰りに来てまで無駄な時間を過ごしたくない。まして本科生(浪人生を予備校では「本科生」と呼ぶ)だと「息抜き・講義・励まし」の比が2・6・2なり2・5・3であってもよいが、この講義の質の部分が「4」になり「成績上昇」に直結していないと分かるやいなや急速に生徒が離れてゆく。ちょっと人気が出て生徒の参加数がうなぎ上りになると冗談や雑談が主流になり、講義のスキルがおろそかになる講師がいる。そうなると最後、徐々にではなく急に生徒は来なくなる。アダム・スミスの言う「神の見えざる手」、世の中の摂理と同様、手を抜いた講師から生徒は離れてゆく。生徒の目は確かである。特に四校五校かけもちで新幹線で移動しつつ朝八時から質問を受け付け、夜七時まで百〜二百人の生徒に噛んでふくめるように「語ってゆく」という仕事を苦もなく(少なくともしんどい様子を見せず)こなすにはやはり努力と才能、しかもその才能を生徒に伝えるセンスが必要なのである。